FC2ブログ

ロゴ著作権事件

古い事件ですが、検討してみました。

1.書誌事項
 ・裁判所:東京地裁(三村量一裁判長)
 ・事件番号:平成12年(ワ)2415(著作権使用料請求事件)
 ・判決日:平成12年7月11日
 ・原告:株式会社キャドム
 ・被告:住友建機株式会社
 
2.事件の概要
 ・原告は、被告ないしその前身の会社から依頼されロゴ(別紙一)を制作した。別紙二は、被告の親会社の住友重機のロゴを示す。別紙三は、社名ロゴの候補を示す。
d-18-01.jpg

 ・被告ないしその前身の会社は、原告に対し、右制作の対価の少なくとも一部として、85万円を支払った。
 ・原告は、本件ロゴについての著作物使用料の相当額としては、月額10万円が相当であるとし、被告に対し、本件ロゴの制作契約に基づき、昭和60年10月1日から平成10年9月30日までの13年間の著作権使用料として1560万円の支払を求めた。
 ・本件ロゴは著作物とはいえず、原告の請求は棄却された。

「第三 当裁判所の判断
一 争点1(本件ロゴの著作物性)について
 1 本件ロゴを原告が制作したこと、被告が右ロゴを現在使用している事実は、当事者間に争いがない。
   著作権法二条一項一号は、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」を、著作物とすると規定し、さらに同条二項は、「この法律にいう『美術の著作物』には、美術工芸品を含むものとする。」と規定している。右規定は、意匠法等の工業所有権制度との関係から、著作権法により著作物として保護されるのは、純粋な美術の領域に属するものや美術工芸品であって、実用に供され、あるいは産業上利用されることが予定されている図案やひな形など、いわゆる応用美術の領域に属するものは、鑑賞の対象として認められる一品製作のものを除き、原則として、これに含まれないことを示しているというべきである。ところで、本件で著作物性が問題となっている文字の書体についていえば、文字は万人共有の文化的財産であり、もともと情報伝達という実用的機能を有することをその本質とするものであるから、そのような文字そのものと分かち難く結びついている文字の書体も、その表現形態に著作物としての保護を与えるべき創作性を認めることは、一般的には困難であって、仮に、デザイン書体に著作物性を認め得る場合があるとしても、それは、当該書体のデザイン的要素が、見る者に特別な美的感興を呼び起こすに足りる程の美的創作性を備えているような、例外的場合に限られるというべきである。
 2 そこで、本件ロゴについて検討するに、本件ロゴは、角ゴチック体と丸ゴチック体を適宜組み合せ、文字の太さ等を工夫することにより、力強いイメージや安定感を表現し、被告の会社名を表現したものである。本件ロゴを子細に検討すると、特に文字の右端を丸くしている点など、一般の書体には見られない特徴を有していることが認められるが、他方、親会社である住友重機の社名ロゴ(別紙二)と対比すると、これを基本に、同様なイメージを表現したものであって、美術としての格別の創作性を有するものではなく、見る者に特別な美的感興を呼び起こすような程度には到底達していないといわなければならない。右によれば、本件ロゴをもって、著作物と認めることはできない。」

異なる書体の組合せや、文字の太さの工夫等の創作では、見る者に特別な美的感興を呼び起こすものとはいえず、著作物とは認められないことが判示された。しかし、見る者に特別な美的感興を呼び起こす程にデザインされたロゴは、著作物と認められる可能性がありそうである。
スポンサーサイト



登録商標を示すマーク

日本の商標法では、登録商標である旨の表示をするように努めなければならないとされています(商標法73条)。具体的な表示方法は、「登録商標第○○○号」のように「登録商標」の文字及びその登録番号等とされています(商標法施行規則第17条)。

一方、「®」マークは、我が国の法令上規定された表示方法ではありませんが、デザイン上影響が少ない等の理由から良く使用されています。

しかし、「®」マークは、Registration symbol(登録マーク)の略であり、米国や中国等では登録商標を示すものとして規定(下記参照)されていますので、これらの国に輸出するときは虚偽表示とならないよう注意が必要です。

なお、未登録商標の場合、商品の出所を表示する商標として「TM」(Trademarkの略)マーク、役務の出所を表示する商標として「SM」(service markの略)マークを用いることはできます。

参照文献:
特許庁ホームページ 外国産業財産権制度情報
アメリカ合衆国商標法第29条(15 U.S.C. §1111) 登録の告知;標章に付す表示;侵害訴訟における利益及び損害賠償の回収
 本巻第1072条の規定に拘らず,特許商標庁に登録された標章の登録人は,「Registered in U.S. Patent and Trademark Office」若しくは「Reg. U.S. Pat. & Tm. Off.」の文言又はRを円で囲んだ文字,即ち,®を標章に表示することによって自己の標章が登録されている旨の告知をすることができる。そのような登録告知をしなかった登録人によるこの章に基づく侵害訴訟においては,被告がその登録を実際に認識していた場合を除き,この章の規定に基づき利益及び損害賠償の回復をすることができない。」

中華人民共和国商標法実施条例 第三十七条
 登録商標を使用する場合、商品、商品の包装、使用説明書、又はその他の付随するものに「登録商標」又は登録マークを表記することができる。
 登録マークは(注の外を○で囲んだもの)と(Rの外を○で囲んだもの)を含む。登録マークは商標の右上又は右下に表記する。」

特許と比べた意匠のメリット、デメリット

1.メリット
(1)登録査定率が高く、早期に権利化できる。
特許行政年次報告書2013年版の2012年のデータによりますと、
特許査定率(登録査定率)は
特許は66.8%
意匠は約89%

ファーストアクション期間は
特許は20.1ヶ月
意匠は6.3ヶ月

(2)権利化までのコストが安い。
 一発登録の場合で、特許は約50万円、意匠は約20万円と特許の半分以下。
(なお、コストは事務所によって異なります。)

(3)権利期間が長い。
 特許は出願日から20年、意匠は登録日から20年であり、意匠は特許よりも登録からの権利期間が長い。

(4)侵害の発見が容易。
 特許は技術的思想が保護対象であり、意匠は物品の形態が保護対象ですので、意匠権の侵害の有無の判断は特許と比べて容易。

2.デメリット
(1)類似の範囲が狭い
 形態の類似の範囲が狭い。これは部分意匠制度及び関連意匠制度を利用することにより補うことが可能。

コンビニ等の建物そのものも立体商標として商標登録できます!

建物そのものも立体商標として商標登録が可能です。以下に、建物の立体商標の登録例を紹介します。

登録番号第4162997号、権利者:ミサワホーム株式会社、登録日:H10.7.3
指定役務第36類:建物の貸与,建物の売買,建物の管理ほか
指定役務第37類:建築一式工事,舗装工事ほか
4162997.gif



登録番号第5181517号、権利者:出光興産株式会社、登録日:H20.11.21
指定商品第4類:類燃料,工業用油ほか
指定商品第12類:自動車並びにその部品及び付属品ほか
指定役務第35類:広告,商品の販売に関する情報の提供ほか
指定役務第37類:自動車の修理又は整備ほか
指定役務第42類:工業用油・燃料の品質管理ほか
5181517.gif



登録番号第5272518号、権利者:株式会社ファミリーマート、登録日:H21.10.9
指定役務第35類:衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
5272518.gif


特許庁の「立体商標の識別力の審査に関する運用について(41.100.02)」によりますと、
「1.需要者が指定商品等の形状そのものの範囲を出ないと認識するにすぎない形状のみからなる立体商標は、識別力を有しないものとする。この場合、指定商品等との関係において、同種の「商品(その包装を含む。)又は役務の提供の用に供する物」(以下、「商品等」という。) が採用し得る立体的形状に特徴的な変更、装飾等が施されたものであっても、全体として指定商品等の形状を表示してなるものと認識するに止まる限り、そのような立体商標は識別力を有しないものとする。

2.識別力を有するものとは認められない立体的形状に、識別力を有する文字、図形等の標章が付され、かつ、その標章が商品又は役務の出所を表示する識別標識としての使用態様で用いられているものと認識することのできる立体商標は、識別力を有するものとする。

3.極めて簡単で、かつ、ありふれた立体的形状の範囲を超えないと認識される形状のみからなる立体商標は、識別力を有しないものとする。

4.上記1.及び3.に該当する立体商標であっても、相当長期間にわたる使用、又は短期間でも強力な広告、宣伝等による使用の結果、同種の商品等の形状から区別し得る程度に周知となり、需要者が何人かの業務に係る商品等であることを認識することができるに至った立体商標は、識別力を有するものとする。 」
とされています。

上記3つの登録例は、上記特許庁の運用に従い、いずれも立体的形状に識別力を有する文字標章が付されて立体商標として登録されたものと思われます。
長期間使用した結果、識別力を獲得するに至ったものは、文字標章を有していない立体的形状のみからなる立体商標の登録も可能ではないでしょうか。
皆さんが勤める企業の建物も立体商標として登録できるかもしれません。検討してみてはどうでしょうか。




アップル対サムスン訴訟(PC端末間同期技術)

1.書誌事項
 ・裁判所:知財高裁(塩月秀平裁判長)
 ・事件番号:平成24年(ネ)第10084号(原審東京地裁平成23年(ワ)第27941号
 ・判決日:平成25年6月25日
 ・控訴人(原告):アップルインコーポレイテッド
 ・被控訴人(被告):日本サムスン株式会社、サムスン電子ジャパン株式会社
 ・特許番号:特許第4204977号
 
2.事件の概要
 ・平成14年10月17日に発明の名称「メディアプレーヤーのためのインテリジェントなシンクロ操作」を特許出願(特願2003-538957)
 ・平成20年10月24日に登録(特許4204977)
 ・平成23年8月31日に原告が被告の輸入販売行為が本件特許権の間接侵害に該当するとして損害賠償請求訴訟(1億円)を東京地裁に提訴
 ・請求棄却判決(東海林保裁判長)
 ・原告が知財高裁に控訴
 ・被告方法は本件発明の技術的範囲に属さないとして控訴が棄却され、被告製品(スマートフォンGALAXY)の輸入販売行為は、本件特許権を侵害しないと判断された。

3.本件発明
請求項11の本件発明1は、次のとおり。(本件発明2、3は省略)
【請求項11】
 メディアプレーヤーのメディアコンテンツをホストコンピュータとシンクロする方法であって,
 前記メディアプレーヤーが前記ホストコンピュータに接続されたことを検出し,
 前記メディアプレーヤーはプレーヤーメディア情報を記憶しており,
 前記ホストコンピュータはホストメディア情報を記憶しており,
 前記プレーヤーメディア情報と前記ホストメディア情報とは,前記メディアプレーヤーにより再生可能なコンテンツの1つであるメディアアイテム毎に,メディアアイテムの属性として少なくともタイトル名,アーチスト名および品質の特徴を備えており,
 該品質上の特徴には,ビットレート,サンプルレート,イコライゼーション設定,ボリューム設定,および総時間のうちの少なくとも1つが含まれており,
 前記プレーヤーメディア情報と前記ホストメディア情報とを比較して両者の一致・不一致を判定し,両者が不一致の場合に,両者が一致するように,前記メディアコンテンツのシンクロを行なう方法。
20130706061045862098.gif
 すなわち、本件発明1は、ホストコンピュータ(PC)とメディアプレーヤー(スマートフォン、タブレット型端末等)がそれぞれ有するメディア情報(タイトル名、アーチスト名及び品質上の特徴(総時間等)を比較し、一致していなければ一致するように同期を行うものです。

4.裁判所の判断
「・・・
2 本件特許のうちの請求項11の本件発明1,請求項13の本件発明2,請求項14の本件発明3の構成要件中,主として充足の有無が争われているのは,本件発明1のG1,本件発明2のG2である。G1,G2の構成要件を改めてここに掲記すると,次のとおりである。
(G1) 「前記プレーヤーメディア情報と前記ホストメディア情報とを比較して両者の一致・不一致を判定し,両者が不一致の場合に,両者が一致するように,前記メディアコンテンツのシンクロを行なう方法。
(G2) 「当該プレーヤーメディア情報と当該ホストメディア情報とを比較し,両者の一致または不一致を示す比較情報に基づいて,前記メディアプレーヤーと前記ホストコンピュータとの間でメディアコンテンツのシンクロを行ない, 」

3 原判決は,ここにいう「メディア情報」とは,一般的なファイル情報の全てを包含するものではなく,音楽,映像,画像等のメディアアイテムに関する種々の情報のうち,メディアアイテムに特有の情報を意味する,と判断した。
控訴人は,本件発明の「メディア情報」は「メディアアイテムに特有の情報」ではなく「メディアアイテムに関する情報」と解すべきであることを前提に,原判決で,ファイルサイズが構成要件G1及びG2における「メディア情報」には該当しないと判断したのは誤りであると主張する。
この点についての判断は,原判決が37頁以下の(2),(3)で説示したとおりであるが,なお次のとおり補足して判断する。本件明細書(甲2)の記載によれば,本件発明は,「ホストコンピュータおよび/またはメディアプレーヤー上のメディアコンテンツをシンクロまたは管理するための改良されたアプローチのための改良された技術」(段落【0005】)として,メディアコンテンツのシンクロ処理において,ファイル名や更新日ではなく,「メディア情報」を比較することにより,シンクロを「データ転送の量が比較的低いか最小限にされるよう適切に管理されるよう」(段落【0022】)にし,「その結果,シンクロプロセスは,よりインテリジェントに実行されえる」(段落【0010】)ようにしたものであり,また,本件特許請求の範囲における文言上,「ファイル情報」と規定することなくあえて「メディア情報」と規定しているばかりか,本件明細書等においても,「メディアアイテムが有するファイル情報」などとの用語ではなく,あえて「メディア情報」の用語が用いられ,しかも,その用語は,「メディア情報は,メディアアイテムの特徴または属性に関する」(段落【0040】)などと,メディアアイテムに関連付けて表現されていことが認められるから,本件発明における「メディア情報」とは,一般的なファイル情報の全てを包含するものではなく,音楽,映像,画像等のメディアアイテムに関する種々の情報のうち,メディアアイテムに特有の情報を意味するものと解するのが相当である。
「メディア情報」なる用語はその語そのものからいかなる情報までを包含するか明確でなく,当該発明の技術的課題や作用効果を参酌してその意義を解釈しなければならないところ,原判決は,特許請求の範囲における構成要件の記載や本件明細書の記載等を踏まえて,「メディア情報」を上記のように解釈したものであり,引用した上記各記載に照らしても,その判断を支持することができる。
以上の説示に照らし,ファイルサイズが「メディア情報」に含まれないことは,原判決も「原告の主張について」と題して39頁以下のイの項で詳細に説示しているとおりであり,当裁判所が付加すべき理由はない。控訴人の上記主張は理由がない。

第5 結論
以上によれば,その余の争点について判断するまでもなく,控訴人の請求はいずれも理由がなく,これを棄却した原判決は相当である。よって,主文のとおり判決する。」

 世界でアップルとサムスンが争われていますが、本事件は日本で最初の訴訟です。本判決は、特許請求の範囲に記載の用語(メディア情報)がその語そのものからいかなる情報まで包含するかが明確でないことから、当該発明の技術的課題及び作用効果を参酌してファイル情報は含まれないと解釈し、被告方法は本件発明1の技術的範囲に属さないことを判示したものです。

 なお、1審で「被告各製品を輸入,販売等する行為が特許法101条5号の間接侵害に該当するか否か」が争点になっていました。この争点において、被告は、原告はいわゆる間接の間接侵害を主張しており、被告製品は本件発明に係る方法を実施するものではなく、システムを構築(生産)するために用いる物であるので、特許法101条5号所定の「その方法の使用に用いる物」には該当しない旨の主張をしていましたが、1審及び2審で判断されませんでした。

続きを読む

プロフィール

特許ヨロシク

Author:特許ヨロシク
平田国際特許事務所に勤める弁理士(特定侵害訴訟代理付記)の遠藤和光です。このブログは私の個人的意見を述べたものであって平田国際特許事務所を代表するものではありません。また、分かり易さに重点を置いているため、表現が適切でなかったり、言葉足らずの面があることを予めご了承願います。なお、「わくわく」とは、私との面談でアイデアが湧く、ワクワクするの意味です。

ベンチャー社長ランキング
訪問ありがとうございます。中小企業、ベンチャー社長を応援してます。よかったらポチッと押して下さい。
にほんブログ村 ベンチャーブログ ベンチャー社長へ
にほんブログ村
弁理士ランキング
訪問ありがとうございます。 下記アイコンは100人を超える弁理士が参加しているブログランキングです。よかったらポチッと押して下さい。
メールフォーム
知財に関するご相談は、無料で受け賜わっております。

名前:
メール:
件名:
本文:

最新記事
検索フォーム
カテゴリ
月別アーカイブ
最新トラックバック
最新コメント
カレンダー
08 | 2021/09 | 10
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
来訪者数
おすすめ